原始第三歌仙集 『化石』山姥の巻1997年山猫荘にて やまねこに山姥つどい風騒ぐ 敏子 久しぶりなる雨と笑声 節子 羽のごと軽きしずくを葉に受けて 日奈子 色あざやかによみがえる木々 美子 月円く六人(むたり)揃いて宴のどか 妙子 話題種ぐさ夜気のみ涼し 友子 ゥコナ淋し湯殿の籠でひっそりと 節 几帳の陰に男君ひそむ 敏 風なきに灯(ともし)ゆらぎておののきぬ 美 かねたたき鳴くきぬぎぬあわれ 日 秋蒔きの野菜に備え畑を鋤く 友 烏のなくは来世紀への期待 妙 寒月に林の影の凄くして 美 谷の方より獣の声す 節 難民と呼ばれてはやも半世紀 敏 西瓜の水に辛くも生きて 友 電動の車椅子より仰ぐ花 日 声かけて行くジーンズの女性(ひと)美 |